海外のファンによる漫画『エマ』のレビュー

産業革命によって隆盛を誇るイギリスを舞台にしたメイドとジェントリの道ならぬ恋を描いた漫画『エマ』。
メイドで眼鏡で寡黙で知的という完璧超人も真っ青のスペックを誇るエマと、成り上がり貴族の長男でお人よしのウィリアムによる恋模様を描いたこの漫画は大ヒットとなり、アニメ化も2度されました。
話の内容もさることながら、作者によるヴィクトリア時代のイギリスの緻密なまでの描写にも圧倒されます。
この『エマ』を海外のファンがレビューしていました。
ソース(一番下の記事です)
”あなたにとって一番のロマンス漫画は何ですか?”と幾人かのファンに訪ねてみて下さい。きっとあなたはそこから続く討論から逃げるための避難所を探すために走り回ることになるでしょう。
しかし私が薦めるのは誰からも論破されることはない、上品で洗練された作品です。もし、このレビューに異論があるなら、あなたのお勧めするもっと素晴らしいロマンス漫画のタイトルを是非教えてください!
私が漫画の説明で”ロマンス””メイド”の2つの単語を聞く時、それは女の子がメイドの服を着ているだけの馬鹿馬鹿しいハーレム漫画のものでした。(これが私のご主人様?)
幸運なことにビクトリアン時代を舞台にした『エマ』はそういう類のものとは正反対のものです。
まず1つ、作者の森薫はその話をビクトリア朝のイギリスに設定し、作品のタイトルともなっているエマはその時代にメイドとして働いています。
片やウィリアムはジェントリの一員で彼女に恋しています。色々問題はありますが一緒に過ごすうちに二人は幸せを感じるようになります。
彼らは連絡を取り合うことも、ましてや一緒になるには彼の家族や彼の属する上級社会と闘わねばならず、雲行きは次第に怪しくなっていきます。
私はエマに出てくる登場人物の全てが好きで、嫌いな人は一人もいません。
ウィリアムのもう一人の相手となる少女は同情の余地もないくらい単純です。
この漫画の登場人物全員、2面性を持つ悪人といえどもみな、その行動をする理由があります。
『エマ』を薦めるもう一つの理由、それが作者森薫の美しいアートワークと慎重に運ばれる物語のペースです。
森は登場人物の明瞭な描き方に加え、お茶の葉でカーペットを掃くなど、時代背景の描写に決して手を抜きません。
少女漫画ファンは一般的に写実的であるよりもスクリーントーンを用いた描写を好みますが、森はむしろ斜線を好んで用い、それがこの漫画に現代漫画というよりもむしろ、ビクトリア朝の雰囲気を感じさせています。
物語の展開は完璧と言ってよく、特に5巻の再会シーンは感情の蓄積を見開きページで素晴らしく表しています。
章によっては全く台詞がないまま過ぎることもありますがキャラクタの表情による寂しさの表現は芸術的でさえあります。
私の感じる唯一の欠点、それは私の友人の言葉が適当かもしれません”で、エマはいつ自己を獲得するの?”
エマはこの漫画において最も弱いキャラクターで、作者が完全に控えめな女性になるように描いたせいで彼女の個性というものは全くといっていいほどありません
彼女は皆に言われた事をただしているだけで、自分の気持ちを話すことはほとんどありません。
しかし、エマは次第に自分の欲しいものを求めるようになり、私は彼女がハッピーエンドを迎えるように祈らざるを得ませんでした。
そして幸いなことにそれは得られたのです。私のように。
寡黙なのがいいんじゃないか(キリッ)
西洋人の知人に聞いたことがあるのですが、向こうでは沈黙は怒りと取られるみたいです。
実際この意見には肯かされる部分もあるというか、あまりにも受身過ぎるだろ、と思えるシーンが確かにあります。
でもそれがいいというか、エマの個性だと思うんですけどね。
むしろ自分なんかは中盤以降のウィリアムの優柔不断さにイライラさせられっぱなしでした。おそらくこのレビュアーは、大人しくて控えめで自分の意見を持たないエマが、己の意思を持ち自己を確立して恋人もゲット!みたいな話を期待して読んでいて、自分なんかは境遇は悪くとも気立ての良いメイドのヒロインが並居る貴族の娘達を押しのけて恋人のハートを掴むという話を期待していた、という違いがあるからかもしれません。
原作ではレビュワーの期待通りにエマが上流階級で生きていくことを決意して終わるのですが、管理人はエマとウィリアムは貴族のしがらみを捨て新天地に行くだろう、と思って読んでたのでちょっと驚きでした。
新天地へ、という展開はアニメで実現していたので、実はラストに関してはアニメの方が好きだったりします。
それでも5巻の見開きが最高であるという意見には超同意させてもらいます。
(個人的には4巻のラストが一番好きなのですが)
作者の森薫は現在コミックビームFellows! にて乙嫁語りを連載中、こちらも要注目です。
※ちょっと今回は短めでした。これからしばらく忙しくなるので頻繁には更新できないかもです。
週に2~3回は更新したい…
気に入りましたら、コメントなど残していただけると嬉しいです↓
しかし私が薦めるのは誰からも論破されることはない、上品で洗練された作品です。もし、このレビューに異論があるなら、あなたのお勧めするもっと素晴らしいロマンス漫画のタイトルを是非教えてください!
私が漫画の説明で”ロマンス””メイド”の2つの単語を聞く時、それは女の子がメイドの服を着ているだけの馬鹿馬鹿しいハーレム漫画のものでした。(これが私のご主人様?)
幸運なことにビクトリアン時代を舞台にした『エマ』はそういう類のものとは正反対のものです。
まず1つ、作者の森薫はその話をビクトリア朝のイギリスに設定し、作品のタイトルともなっているエマはその時代にメイドとして働いています。
片やウィリアムはジェントリの一員で彼女に恋しています。色々問題はありますが一緒に過ごすうちに二人は幸せを感じるようになります。
彼らは連絡を取り合うことも、ましてや一緒になるには彼の家族や彼の属する上級社会と闘わねばならず、雲行きは次第に怪しくなっていきます。
私はエマに出てくる登場人物の全てが好きで、嫌いな人は一人もいません。
ウィリアムのもう一人の相手となる少女は同情の余地もないくらい単純です。
この漫画の登場人物全員、2面性を持つ悪人といえどもみな、その行動をする理由があります。
『エマ』を薦めるもう一つの理由、それが作者森薫の美しいアートワークと慎重に運ばれる物語のペースです。
森は登場人物の明瞭な描き方に加え、お茶の葉でカーペットを掃くなど、時代背景の描写に決して手を抜きません。
少女漫画ファンは一般的に写実的であるよりもスクリーントーンを用いた描写を好みますが、森はむしろ斜線を好んで用い、それがこの漫画に現代漫画というよりもむしろ、ビクトリア朝の雰囲気を感じさせています。
物語の展開は完璧と言ってよく、特に5巻の再会シーンは感情の蓄積を見開きページで素晴らしく表しています。
章によっては全く台詞がないまま過ぎることもありますがキャラクタの表情による寂しさの表現は芸術的でさえあります。
私の感じる唯一の欠点、それは私の友人の言葉が適当かもしれません”で、エマはいつ自己を獲得するの?”
エマはこの漫画において最も弱いキャラクターで、作者が完全に控えめな女性になるように描いたせいで彼女の個性というものは全くといっていいほどありません
彼女は皆に言われた事をただしているだけで、自分の気持ちを話すことはほとんどありません。
しかし、エマは次第に自分の欲しいものを求めるようになり、私は彼女がハッピーエンドを迎えるように祈らざるを得ませんでした。
そして幸いなことにそれは得られたのです。私のように。
寡黙なのがいいんじゃないか(キリッ)
西洋人の知人に聞いたことがあるのですが、向こうでは沈黙は怒りと取られるみたいです。
実際この意見には肯かされる部分もあるというか、あまりにも受身過ぎるだろ、と思えるシーンが確かにあります。
でもそれがいいというか、エマの個性だと思うんですけどね。
むしろ自分なんかは中盤以降のウィリアムの優柔不断さにイライラさせられっぱなしでした。おそらくこのレビュアーは、大人しくて控えめで自分の意見を持たないエマが、己の意思を持ち自己を確立して恋人もゲット!みたいな話を期待して読んでいて、自分なんかは境遇は悪くとも気立ての良いメイドのヒロインが並居る貴族の娘達を押しのけて恋人のハートを掴むという話を期待していた、という違いがあるからかもしれません。
原作ではレビュワーの期待通りにエマが上流階級で生きていくことを決意して終わるのですが、管理人はエマとウィリアムは貴族のしがらみを捨て新天地に行くだろう、と思って読んでたのでちょっと驚きでした。
新天地へ、という展開はアニメで実現していたので、実はラストに関してはアニメの方が好きだったりします。
それでも5巻の見開きが最高であるという意見には超同意させてもらいます。
(個人的には4巻のラストが一番好きなのですが)
作者の森薫は現在コミックビームFellows! にて乙嫁語りを連載中、こちらも要注目です。
※ちょっと今回は短めでした。これからしばらく忙しくなるので頻繁には更新できないかもです。
週に2~3回は更新したい…
気に入りましたら、コメントなど残していただけると嬉しいです↓