日本の妖怪が登場する海外の児童小説『タケシタ・デモンズ』、海外のレビュー

オーストラリア在住の作家、Cristy Burneは日本での滞在経験があり、日本の妖怪の大ファンでもあります。
彼女はイギリスを舞台に日本の少女が主人公で日本の妖怪が登場する児童小説を書きました。
タイトルは『タケシタ・デモンズ』。
~あらすじ~
タケシタ・ミクと家族は日本からイギリスへと引越ししたが、不運な事に敵である妖怪達も彼女達を追ってきたのだった!
ミクは彼女の副担任が抜け首へと変化した時、危機が迫っている事を知った。
この血に飢えた妖怪は首を空に飛ばす事が出来、子供の肉が大好物なのだ。
その夜、吹雪の吹き荒れる中、彼女の弟カズが妖怪に攫われてしまう。
彼を取り戻せるかどうかはミクと、彼女の友人ケイトにかかっている。
彼女たちは吹雪の中の学校へと忍び込み、濡れ女、のっぺらぼうと直面する。
そして遂に彼女たちは抜け首自身と対峙する事になるが、カズを助ける事は出来るのだろうか?
この小説は2009年、出版元であるFrances Lincoln社のDiverse Voices Book Awardを受賞し、2010年にイギリスの全ての中等生(8~12歳)に無料で本を与えるプログラム、Booktrust Booked Up programにも選出されています。
引用元:goodreads.com
★★★☆☆
少女ミクと彼女の家族は日本からイギリスに引っ越してきた。
新しい学校での生活が始まり、友人も出来た彼女の心配する事は、イジワルな男の子の無神経な言葉だけのはずだった…が、ミクは新しい家に持ってきたお婆さんからのお守り(首が外れ空を飛びまわる妖怪への)を壊してしまう。
それは単なる思い出の品以上の物だったのだ。
これ小説は2009年、Frances Lincoln出版社のDiverse Voices Book Awardを受賞している。
勉強のため日本に住んでいた事のあるCristy Burneは、オリジナルの小説と日本の伝統的な精霊をシームレスに融合させている。
これはWikipediaを読んでるような気分になることなく物語と解説を楽しむ事が出来る。
文章は清潔で爽やかで、風変わりな漫画を読んでいるような気分にさせてくれる不思議な魅力を持っている!
どんな感じだったかって?
もしあなたが幽霊や精霊、ベッドの下の暗がりを怖れるタイプだったら、この本を置いて別の物を選んだほうがいいかも。
もし私がそのタイプだったら、テディベアやバニーラビッツの本を選んでた。
小説の中の空飛ぶ首や邪悪な霊と出会うチャンスを欲しいとは思わないだろうから。
怖い描写はかなり上手くて、私は大人になっているにも関わらず、かなり恐ろしい部分があった。
(白昼の電車の中だったんだけど(笑))
Sikuによる絵も素晴らしかった。
邪悪な存在から幼い弟を護ろうとする少女というテーマは私の好きな映画『ラビリンス』を思い出した。
最後の対決でも自己を失わない主人公のミクは好感が持てる。
これは2巻まで続いていて、彼女がどう成長していくのかが楽しみ。
★★☆☆☆
『タケシタ・デモンズ』は映画『ラビリンス』のように始まる。
少女は別世界の妖怪から彼女の小さな弟を救い出す。
吹雪によって休校となった学校と、子供達の側に両親がおらず、彼女の副担任は夜になると身体から頭が離れる日本の妖怪、これは素晴らしい子供向けの物語を作れそうだ。
『タケシタ・デモンズ』の問題点はその設定を活かしきれていないことだ。
登場人物描写は簡略で、アクションやサスペンスにそぐわない描かれ方になっている。
メインキャラクターのミク(私はオンラインでこの名前を検索しなければならなかった)と彼女の親友、アイルランド系の少女ケイトは、彼女達をよりリアルにするためのディテイルに欠けている。
ミクが日本に住んでいた頃、家族を妖怪から護っていた祖母に関する最初の方の描写は、彼女の物語への重要性からかなりぼかして書かれていた。
『タケシタ・デモンズ』に関しては、ポテンシャルを持った2人の少女が主人公の子供向け小説はレアであり、若い女性読者をひきつける為にもキャラの描写、彼女達の強さを見せる必要があったのにその両方が欠けていた事に失望したよ。
★★★★☆
これは日本の超自然的な悪魔、『妖怪』と弟を護るために戦う少女の胸躍る冒険物語。
妖怪は日本ではよく知られていて、日本の伝承には重要な存在であるけれど、日本の外ではあまり良く知られていない。
12歳の少女、タケシタ・ミクは最近ロンドンへと移り住んだが、祖母の事を寂しがっていた。
日本にいた頃、祖母は邪悪な物から家を護ってくれる子供の妖怪座敷童等、様々な精霊の事を教えてくれた。
しかし祖母は亡くなり、その教えを知るのはミクだけだった。
ミクは邪悪な存在から家を護るためにドアの上に置かれた杉の枝を毎日確認する事を忘れないようにしていた。
しかし、彼女の母親はそんなのはナンセンスだと思っていたのだ。
ある冬の日、ミクは学校で副担任が妖怪、子供の肉を食べる抜け首である事を知る。
その夜、不思議な出来事が起こり、彼女の見てる前で彼女の弟が消えてしまう。
ミクと彼女の友人ケイトと、空飛ぶ頭と超常の力を持った抜け首との闘いという息つく間もない冒険が始まる。
これは日本の漫画的な怖い話を探している読者のための物語だね。
★★★☆☆
日本の伝承に登場する精霊、妖怪を取り扱っていて興味深く珍しいものの、ストーリーは不透明で苛つくほど不完全燃焼な感じがする。
そう、確かに”巨悪”は倒されるが、それは主人公によってではないんだ。
実際の所、彼女は物語のほとんどを傍観者として過ごし、彼女のコントロール外で物事は報われ、罰されていく。
これは続編のためだと思うけど、作者にはもっと上手にストーリーをコントロールする事を期待するよ。
★★★☆☆
ミクの家族は日本からイングランドに引っ越した時、どうやら日本の妖怪もついて来てしまったらしい。
しかも最悪な事に副担任が抜け首に変化してしまった。
その妖怪は夜になると頭が身体から離れて宙を飛び回り、子供を捜しては食べてしまうのだ!
これは子供たちに日本や日本の妖怪に興味を持たせる素晴らしい本だった!
本当に怖いシーンがいくつもあった。
★★★★★
これは素晴らしい読み物だった!
短くてパンチが効いていて、何もかもがファンタスティックで超自然的なな妖怪譚。
この本にはたくさんの注釈が入っているけど、文章を圧迫してはいない。
この話の舞台はイギリスなんだけど、私は主人公が日本にいた頃の家族の過去と歴史の逸話が気に入ってる。
凄くお勧め!
★★★☆☆
これは一気に、しかも楽しく読めた。
凄く楽しかったし、ちょっぴり怖くもあった。
5年生以上の子供にお勧めするわ。
漫画的なイラストも素晴らしかったしストーリーに凄く合っていた。
★★★★☆
良かった。一気に読んだわ。
中学生向けで怖すぎるという事も無く、読書に消極的な子にもお勧め。
こちらの『タケシタ・デモンズ』は」現在2巻まで刊行されています。
2巻のタイトルは『The Filth Licker(垢なめ)』

引用元:goodreads.com
~あらすじ~
ミクは友人のケイト、クラスのみんなと学校のキャンプのために森に行った。
それは楽しいものになるはずだった。
しかし、ミクには危険な予感があったのだ。
オスカーが発疹によって寝込み、突風が焚火を吹き消した時、彼女は何か悪い事が起きていると悟ったのだった。
その時、アレックスが男子トイレで蛙に似た垢なめを発見し、ミクとケイト、アレックスは恨み深いスーパー妖怪によって手遅れになる前に秘密の作戦を決行する事にした!
その夜、アレックスは狐火によって誘拐され、ケイトは怒れる鎌イタチの手に落ちてしまう。
ミクは垢なめと共に彼女達を救うべく立ち向かうのだった。
★★★☆☆
前回登場した主人公のミクは、イギリスまでついて来た妖怪(日本にいた頃は祖母が護ってくれていたが、祖母が亡くなった事によりその護りがなくなってしまったのだ)を倒した。
…今やミクは自由、普通の子供として学校のキャンプにも行けるのだろうか?
いえ、それは間違っていた!
『タケシタ・デモンズ』の2作目は世界のあちこちで産まれている悪鬼妖怪たちを私たちに紹介してくれている。
私はこの『垢なめ』は本当に気に入っている。
快活なユーモアが詰まった文章で物語のペースも申し分なし(若い読者へのアピールにもなる)
”ええと、いまここにいるのは心を読む猿の妖怪”悟り”ね。知ってるのはいい事だけど、私の親友が生きたまま食べられそうなのは良いとは言えないわ”
…これは大人の読者へのアピールにもなると思う。
(両親や、私のような子供の心を持った大人に)
この2作目の小説は、ミクと親友のケイトの他ににアレックスが加わり、グループアドベンチャーのスタイルで進んでいく。
これは登場人物達の行動と、主人公が2人の少女だという事で読むのを敬遠してきた男子読者へのアピールの、両方に効果的だと思う。
一作目に何が起こったのかも上手く説明されている。
特に良い点:
登場する日本の妖怪たちは『タケシタ・デモンズ』一作目のように、どれも興味深い。
更なる新しい妖怪たちを知ることと、作者がそれに物語を被せてくる方法、どちらも本当に好き。
それに妖怪達の詳細なデータを紹介している後書きも好きだ。
今作の登場人物―垢なめ―はチャーミングでスイート、でもちょっと気味の悪い妖怪で(汚い風呂場に潜み、垢を舐めるのだ)、間違いなく私を虜にした。
凄く良く描かれていて、最高にキャラが立っていて…一人欲しくなった位。
私の恥ずべきバスルームのためにも。
まとめると、中盤の冒険物はちょっとありきたりで心配だったけど、他の要素が充分にあり楽しむ事が出来たわ。
★★★★★
『タケシタ・デモンズ』がこのシリーズの1作目で、これは私が去年読んだオリジナルな本の1つでもある。
これは素晴らしい読み物であるだけでなく、魅惑的な日本の神話がフルに詰め込まれていて、本当に不気味だった!
続編であるこの『垢なめ』のレビューを読み、私はこのシリーズがどんどん良くなっている事に嬉しくなった。
『垢なめ』には時に助けに、時に助けにならない日本の妖怪達がよりたくさん登場している。
私がこの作品を好きな点は、馴染みのない妖怪の名前や特徴が、民話伝承のレッスンであるかのように感じることなく読めるように物語に織り込まれている所。
実際、私は何かを学んでいるような気持ちに全くならずに楽しむ事が出来た。
つまり作者はほとんど不可能な事をやってのけたという訳。
登場人物達の関係が成長している所も気に入ってる。
前回では、ケイトはミクの側で妖怪達と戦い本当の友人になった。
しかし、今の彼女はジーンズに夢中で、妖怪達との戦いは記憶にない振りをしている。
そして誰もが驚いた事に、日本の妖怪について良く知っているミクを苛めていたアレックスこそ、ミクの本当の味方である事が判明する。
彼女達の関係によって更に登場人物を好きになれたし、巨大な猿の妖怪のシーン、思考を読み取り秘密を暴露する場面には大笑いした。
ミクが百物語(百の物語を語ることで妖怪を召喚する)を行い、みんなが大騒ぎした時に彼女が言った言葉「清潔だし、グロくないよ。凄く不気味だけど」、これは『タケシタ・デモンズ』そのものだと思う。
これは両親の怒りを買うことなく安全に手に入れる事が出来る珍しいホラー小説で、しかも本当に不気味な物がいっぱい詰まっている。
オリジナリティ高く、素晴らしく面白い小説で、来年リリースされる第3作『モンスターマツリ』が待ちきれない。
★★★★★
去年出た『タケシタ・デモンズ』のファンタスティックな続き。
読む価値あり!
特に後半の不気味さと、本格的な日本の妖怪たちが好き!
なかなかに面白そうであります。
一作目に小泉八雲の『怪談』にも出てきた抜け首(飛頭蛮)を出す辺りが心憎いというかなんというか。
頭が空を飛ぶというビジュアルに人肉を喰らうというキャラは悪役にもってこいです。
他にも濡れ女、悟り等様々な妖怪が登場しているようです。
人気は上々のようで今年の12月には3作目である『モンスターマツリ』が出版予定です。
残念な事に日本での出版はされていないようですが、どんな内容なのか読んでみたいものです。
どこか出版してくれないかな…
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