「日本の怪奇話は独特の雰囲気がある」小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)『怪談』海外のレビュー

夏が近づいてきました。
夏と言えば怪談、怪談と言えば小泉八雲(wikipedia)です。
アイルランド人の父とギリシャ人の母の間に生まれ、幼少期をアイルランドで過ごした後、20歳で渡米、40歳の時に通信員として来日し、そのまま日本に留まることになります。
彼が妻の節から聞いた日本各地の伝説、怪奇話をまとめたのが『怪談』で、海外でも数多く出版されています。
という事で小泉八雲の『怪談』(wikipedia)に対する海外のレビューです。
引用元:goodreads.com
●エルマ・オドラッチ:★★★★☆
私は最近goodreads.com内で彼の事を知らない人のための”ラフカディオ・ハーン友の会”に参加した。
で、リサーチしてみたわけ。
彼はイギリス/ギリシャ/アメリカの作家で、1890年に日本に移り住んだ。
そして、日本の文化の鍵を西洋に紹介したの。
『怪談』は日本の昔の文献から取り上げた20の短編からなる怪奇話が収められている。
真っ白な服を着た若い女性の幽霊が木こりの若者の目の前に現れ、見た事を決して話してはならぬと約束させる話(雪女)、茶碗の中に映る顔の話(茶碗の中)、卵のようにつるりとした顔をした少女の話(むじな)。
他にも、侍、怪物、空飛ぶ首等々。
全て気味が悪く、超自然的。
『怪談』は日本の過去へと誘ってくれる。
●ケイト:★★★☆☆
『怪談』は魅惑的で読む価値があるよ。
この版はいくつかミスもあるけど美しいイラストが盛り上げてくれてる。
これは百年以上も前の物語で、作者のラフカディオ・ハーンはこれらの話を尊重しつつリフレッシュし、現代では高く評価されている。
ヨーロッパ帝国主義時代に書かれた非西洋圏の伝承でよく見られる難解さ、苛立ちさは全くない。
ハーンの解説文は彼の紹介する物語、それを作ってきた日本の文化を理解する上でとても役に立つ。
歴史的な観点から見ると日本の西洋化に関する彼の理解(時として非情に時代遅れな理論)も非常に興味深かった。
おそらく、この本の中で本当に気味の悪い話はただ1つ『むじな』だろう。
恐ろしい話を探しているのならがっかりするかもしれない。
しかし、もし伝承や怪奇話、歴史に興味があるのなら、是非読むべきだと思う。
●グレッグ・ベイツ:★★★☆☆
怨霊と戦うためにひたすら曲を奏で続ける事を強いられた盲目の僧侶。
卵のような顔をした女性に追いかけられた男。
知らず知らずのうちに自分を呪った悪霊と結婚し、数年の後にその事に気付いた男。
これら日本の超自然的な話は、親日家のラフカディオ・ハーンによって書かれた。
私は『怪談』を読む気はなかったんだが、Amazonのお勧め欄に突然表示されたんだ。
説明を読んだ後、自分はそれを買う事を決め、そうした事を嬉しく思ったよ。
これは20の短編からなり、良い午後を過ごす事が出来た。
『怪談』の話は”凄く怖い”ということは無い。
しばしその奇妙さのお陰で不安な気分にはなるけど、ほとんどの話は日本の寓話に似ている。
その他に『怪談』は百年前の日本のホラーが髪の長い女性と子供の幽霊に満ちているという興味深い文化的一面を教えてくれもする。
●オードリー:★★★★☆
『怪談』は美しい日本の幽霊話を集めている。
幾つかは恐ろしく、幾つかは感動的で、その全てが日本の文化を構成するたくさんの機微が含まれている。
私は全ての物語を素晴らしく楽しんだし、それぞれに違った楽しみがあった。
物語の幾つかは古い日本の伝承の翻訳であり、それが他の人のために書かれたのは初めてでもある。
著者は日本を旅して回り、その伝承を聞き、書きとめる事を楽しんだ事だろう。
そのため、このレビューを書くのは非常に困難でもある。
物語は彼の作品では無いからだ。
時に会話すらない物もあるが、著者は翻訳するに当たって彼なりにアメージングな仕事をしている。
明らかに幾つかは翻訳を間違っているだろう。
しかし著者はそのミスを最小限にする素晴らしい仕事振りを見せているし、原文を読んだような気持ちを与えてくれている。
この本の最後には日本の文化に関連した昆虫についての説明があり、これは本当に魅惑的だった。
蟻と蝶に関する部分は特に楽しかった。
(おそらく私が蟻に取り憑かれてるからだろうけど)
選出された詩や著者の観察と解説による文に書かれている、古代日本で昆虫の果たした役割(日本において昆虫はとても重要だ)には大いに力を与えられた。
私はこの本を素晴らしく楽しんだし(そして多くを学んだ!)、朝に読み始めて止める事が出来なかったのも初めてのことだった。
日本の文化に興味を持っている人には凄くお勧めだよ。
●ジェニファー:★★★★☆
ラフカディオ・ハーンは非常に興味深い。
日本の文化に身を投じる事を決めたヨーロッパ人であり、日本に住む事を決め日本の名前まで持った人物でもある。
本格的な移民なのか、西洋人である事を利用したのか(両方という可能性もある)、とにかくハーンは自身の新しい故郷の伝承を楽しみ、その伝承を読んだ者としてハーンの『怪談』はまったくもって正しいと感じている。
ハーンは『怪談』は日本でよく知られている伝承や知人の語ってくれた話だと説明している。
これが本当の話なのか違うのか、本当とされている怪奇的な日本の伝承を彼なりに捕らえようとした可能性もあるだろう。
日本の伝承、神秘的な物語、怪奇的な物語は独特の感触や空気を持っている。
西洋のおとぎ話に慣れている人にとって日本の物語は唐突で厳しい物に感じるかもしれない。
ハーンは最高の状態で『怪談』にまとめ、物語は奇妙で恐ろしく、夢中になれる。
『怪談』は良い本です。
●テレサ:★★★★☆
この本は大きく2つに分けられる。
長いほうは『怪談』と呼ばれ、これは奇妙な話という意味で17話あり、短い方は『Insect-Studies(訳注:『虫界』の事)』と呼ばれ、蝶、蚊、蟻に関する3つのエッセイが収められている。
全ての作品が日本の物語だ。
もっとも、ハーンはそれが中国からきた物語の可能性があることも指摘している。
『怪談』セクションは、別の人達が似たような集め方をしていた民話を思い出した。
物語の詳細に関してはそれぞれの伝統によりかなり変わってはいるものの、何度も起こる恐怖の具現化などは同じような物語にも見え、普遍的な感じがした。
幾つかの物語は現代日本のホラー小説やホラー映画における恨みのため安らかに眠る事すら出来ない怨霊について説明する手助けにもなっていた。
私はハーンが日本国籍を取得し、日本人と結婚した事から彼が日本でどれほど平穏を感じ、この国こそが自分の本当の故郷であると感じていた事を知った。
彼のエッセイによる哲学的黙想は、彼がどれほど日本の本質を体現していたかがよく書かれていた。
●ルーク:★★★★☆
ラフカディオ・ハーンはギリシャ人とアイルランド人の両親の間に生まれ、最終的に日本国籍を取得し、小泉八雲と名乗った。
彼が日本で書いた書籍はかの国に窓を作り、同時に彼自身に素材を与えた。
その国は外国の読者にとって謎の国だったのだ。
『怪談』は幽霊話を集めた物であり、おそらく彼の作品では最も知られた物だ。
『怪談』、物語のソースは同じ名前の映画にも使われている。
これは君の想像するような幽霊話では無いだろう。
血やゾンビ的な物語というよりも、むしろ命の不思議な側面を描いた物語なのだ。
特に何が起こるというわけでもなく、恐怖は登場人物に関係した物で、自然の別の一部だと考えられている。
興味深い事に、ハーンの文章は今まで読んできたどの作家よりも効果的に日本の民話や伝承による影響を与えてくれている。
物語のルーツは日本の古い文献からで、ハーンの学術的再解釈がされてはいるのは明らかだが、鼻につくほどではない。
実際、この本で楽しんだ一部分は少なくとも昆虫に関する彼の論文であり、その内容は私のお気に入りとなった。
蝶に関する俳句、蟻の性生活に関して学んだ事はすぐに忘れられる物ではない。
●ジェシー:★★★★☆
私はこの本を幾つかの場所で見かけたの。
映画を見もした。
(たったの4話ではあったけど素晴らしかった。映画の中の2作は本の中で見つけられなかったけど…)
これは日本の昔話を集めたクールなコレクション。
時に謎で、時に恐ろしく、全てが魔術の側にある。
ほとんどの物語は凄く短いけど、おとぎ話のポイントを得るのに多くは必要ないからそれが読む上で妨げになることは無いと思う。
これは日本文化に興味を持った人や、子供の頃に寝る時おとぎ話を聞くのが好きだった人にだってお勧めできるよ。
●マッド・マウディ:★★★★★
この物語は大好きだし、この版には驚くほど美しいイラストが付いてる。
物語は今日の標準としてはかなり大人しめだけど、だからこそ自分は好きなんだ。
巻末にあった虫に関しての研究は怪談に合ってないと思ったし、よく分からなかったけど悪くはなかった。
怪談話を読んだ後に読もうという気分じゃなかっただけかも。
虫の研究はあったけど、怪談とイラストの両方に興味がそそられたな。
●エバリン・トラン:★★★★☆
私は日本の民話、幽霊に関する話を幾つか読んできたけど、今の所これが一番好きだな。
クラシックだけど読みやすく、著者は旅行中の出来事を書き止めたという様なスタイルでこの本を書いている。
多くの説明があり、ユーモアのセンスもあるし、物語のセレクトも良かった。
『怪談』がなんなのか知りたい人には丁度良い本だよ。
この記事で興味を持った人には強くお勧めするよ。
日本の不思議な伝承を集めた話『怪談』。
むじなに言及する人が何人かいましたが、何か心に留まるものがあったのでしょうか。
日本の怪談は落ちがなく、スパッと切る話が多いのでそれが独特の雰囲気を醸してるような気がします。
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