消されるなこの想い 忘れるな我が痛み『ZEGAPAIN』海外のレビュー

~wikipediaより~未来的にデザインされた街・舞浜市に住み、近郊の高校に通う普通の学生、キョウ。たった1人で水泳部を切り盛りする彼は、中学の時の因縁から難癖をつけてくる友人らとのいざこざにもめげず、水泳部への勧誘を行う傍ら練習のため学校の室内プールへと向かう毎日。
ある日、幼なじみのリョーコに頼まれ、映画研究部作品の撮影中、やる気の無いキョウはNGを出し撮影は中断。ふと、窓の外を見ると、プールの飛び込み台の最上段に見知らぬ美少女・シズノが立っていた。水泳部入部希望者と察したキョウは、慌ててプールへと急ぐが、シズノは声にならない謎の言葉を残し、華麗な飛び込みを見せ、そのまま水中に忽然と姿を消す。シズノの事が忘れられないキョウだったが、程無くして彼女はキョウの自室に忽然と現れた。
シズノは「ゲーム」の始まりを宣言した。キョウは彼女に導かれるままに異空間へ転送され、美しい光の装甲をまとった巨大ロボットゼーガペイン・アルティールに乗り込み、彼女と共に敵キャラクターを倒していく。だがしばらくして、様々な疑問に直面していく。
公式サイト
引用元:myanimelist.net
●ニューヨーク、アメリカ:男性
ゼーガペインはサンライズによる今までとは別のメカアニメだ。これは決してガンダム系のアニメではない。ゼーガペインはメカアクションだけのアニメではなく、ロマンスや哲学的な一面も持っている。
物語:物語は十凍 京(ソゴル・キョウ)の日常から始まるが、すぐにゼーガペイン・アルティールと呼ばれるメカのコクピットに乗りこむように展開していく。
物語の展開はしっかりしていて、幾つか捻られたところもあり、視聴者の疑問にも答えるようになっている。
前述したとおり、メカアクションの側面も持っているし、何組かのカップルの恋愛模様も見ることが出来る。ロマンスは深くなりすぎず、それでいてプロットの中で上手く進んでいく。
Art:アートはこのアニメのハイライトのひとつでもある。デザインは上手く作られていて、CGもスムーズに動いているが、何回かもっと上手く描いて欲しかった場面も幾つかあった。CGと2Dはスムーズに組み合わさっている。メカと敵デザインは他のガンダムのようなアニメに比べてユニークでオリジナルだ。オープニングとエンディングは両方とも美しいアニメーションが載せられており、ゼーガペインのようなアクションアニメの中で際立って見える。
音楽:音楽はこのアニメで効果的に使われている。OPとEDはこの中でもハイライトだ。アニメに合っていて平和を感じさせ、戦闘シーンの音楽はエッジが効いている。
登場人物:登場人物は典型的なキャラクターじゃない、とは言い切れないだろう。クールで横柄な者や、やかましくて手の付けられない主人公まで様々だ。キョウは2人の女性の間で三角関係に悩まされるし、ロマンスは他のキャラクタでも見ることが出来る。
総合評価:自分はメカアニメファンであり、これはそういう意味でベストのアニメではないが、このアニメは楽しんだ。これはそれなりにユニークなアニメだ。SFを上手く組み込んでいて、終末的な設定を見せてくれる。
このレビューは34人中24人が参考になったと言っています。
●ウェスト・パームビーチ、フロリダ、アメリカ
実存主義者のためのアニメに万歳三唱を!クール、まさにクールだ…さて、私の言っていることが分かるだろうか。これは今までのアニメを踏襲しているといえる、すなわちラーゼフォンやとてつもないヒットを飛ばしたエヴァンゲリオンだ。メカアニメであるゼーガペインは少年向けアニメの伝統的な”敵を全て撃ち、破壊しろ”というガイドラインを持ちつつも、より深い哲学的なテーマも模索しているんだ。自分はこの問いに答えることは出来ないが、このテーマは思わず話に引き込まれるくらいの効果があったよ。
何がゼーガペインをユニークたらしめているのだろうか、何がこのアニメを他の同じジャンルのアニメから際立たせているのだろうか?
既に言ったがラーゼフォン、エヴァ、マトリックスで使われるこの物語や世界は成功を収め、既にカルト的な人気を博している。
これは成功のための公式のようなものだからゼーガペインはこれを選んだが(むろんゼーガペインはその背後に独創性を持っている)、それでは彼らはそこにどんな新しいものを加えたのだろうか?
アート/アニメーション
とにかく、アニメーションは激しい!もちろんこれはいい意味で、だ。『本を判断するとき、カバーには反対の事が書かれている』と古いことわざは言うが、私の言ってることは本当のことだ。中でもOPとEDのアニメは心臓が止まりそうなくらい!登場人物のイメージそのままに水泳部は魚に、あるいは羽が爆発するように鳥になって羽ばたいていくシーンは愛してると言っていいほど。今は新世紀、メカアニメはCGをごく普通に使っている…このアニメは標準的な出来だろうな。
もしあなたが私の他のレビューを読んでいるのなら、わたしがこのアニメのメカデザイン、設計、造形、ホログラフィックや光装甲に心動かされていないことが分かるだろう…それは確かに印象的ではあるものの、このアニメは他に遥かに多くのものを持っているから、それを見たらきっと失望することは無いはずだよ。
そして、私はこのアニメが登場人物に焦点をあわせていて、より”有機的な”テーマを好んで、風景や環境を描いているが好きなんだ。
木や砂漠、草地や湿地帯、竹林などの風景が気に入っているよ。
最終回ではそれは少ししか描かれなず、ほとんどメカだけかもしれない。でもそれを責めることはできないだろうな。
音楽
OK、もう一度OPとEDが素晴らしいと言おう!(ひょっとしたらアニメ本編よりも好きかも?)
実のところ私はデジタル化された歌とテクノ調の曲が好きじゃいんだけど、このアニメの曲は大好きだ!
私は歌詞と歌声が本当に好きだから、ほとんどのオリジナルサウンドトラックがBGMだけということに理解できないよ。もちろんそれが間違っていないことは分かってるけど、OPとEDは本当に素晴らしいから、シングルで出して欲しかったよ。
私は英語版を見たけど、誰の声も違和感がなかった。いくつかの改悪はあったような気はする。キョウが”ひどい”花で切れたときなんかは古典的過ぎた。
物語
とにかく危険が迫っている…私にとっては。これは好きではあるが、愛してると言うほどじゃあない。”オーマイガッ!次回は何が何でも見なきゃ”という気持ちにはならなかったんだ。夢中になることは無かったけど、展開は待ち遠しかったし、(登場人物が)何を思っているのかを見るのは好きだったな。
私は生来の思想家で過剰分析が私の性質であって、言うまでも無く哲学を専攻してもいたから、このテーマは特に私のお気に入りでもあったんだ。
ゼーガペインがエヴァンゲリオンやラーゼフォンと比べてこのテーマに真正面から向き合っていたということは疑いの余地も無いが、この2つのアニメは批評家の賞賛と評価を受けているのに対し、ゼーガペインはどうかというと、それは無かった。
思うにそれはこのアニメが、答えの無い哲学という学問の、最も初歩的な質問に新しい何かを示すことが出来なかったからじゃないかと思う。
"cogito ergo sum(我思う、故に我有り)"は別にして、個人の経験のみならず全ての人間の経験が主観的な一面を持っているということを、客観的に証明することは出来ない。
ゼーガペインは見ているものを信じるな、と問いかける。さながらマトリックスが”見ている世界が本当の世界ではない”と言ったように。そして後に鏡を越えて本当に”目覚める”んだ。ただし、これは本来は”目覚めた?”だろうな。
このアニメは"どうやって産まれたか"が生きているということの副産物ではなく、結果でもなくて、経験こそが主題でありむしろ人間として経験することがその存在を定義し、存在そのものになる、と大胆に述べているんだ。
言い換えれば、生きてると立証する代わりに…ただ生きろ、と言ってるわけだ。
そして、”心が何処にあろうとも人生は生き甲斐のあるもので、それこそ現実だ”というこれこそが、ゼーガペインの魅力なんだ!
しかし人格をを固定するために、ゼーガペインは不死の人間の人格をリセットするという方法をとらざるを得なかった。人間の経験には始まると終わりがあるから、そのために人格をリセットする必要があったんだ。
さて、最初の質問に戻ろう。ゼーガペインは何か新しいものを持ち込むことが出来ただろうか?
私の答えはイエスでもあり、ノーでもある。この質問と答えの両方について、ゼーガペインの提示したものは我々が「西洋の」哲学と呼んでいるものに「東洋の」答えを適用しただけに過ぎない…一般的に東洋哲学には西洋のような二元性という考えが無く(西洋のイデオロギーから生まれる文化的アイデンティティ同様に)多くのアジア人、特に仏教徒は”考えるな、そのものになれ”と考えている。
私がユニークだと考えているのは、ゼーガペインが明らかにこの考えを持っているということなんだ。
エヴァンゲリオン―心を惹きつける力強い物語ではあったが―はもっと虚無的で、正直に言わせてもらえればちょっと陰鬱で、理解しあえるという希望をほんのちょっぴりだけ人類に示していた。言わせてもらえるならラーゼフォンは更に酷かった。
私にとって時々実存的になるのは全く問題なく良かったよ…言いたい事は分かったけど、粘着質で議論となるポイントを欠いていたように感じたんだ。
結局のところ、ラーゼフォンを完全に理解するためには見直す必要があったよ。
そしてマトリックス、これはアニメじゃないけど、これは人々に実存主義を紹介する本当に画期的な方法で、現在の一般娯楽に一突きいれるそのやり方は驚いたことに最新のF/Xと想像のイメージ化なんだ。
ゼーガペインがマトリックスに影響を受けているのは明らかだけど、そう言われた場合、私はあえてそれがマトリックスへの挑戦であり、おそらく反論か別の観点を示そうとしたんだと言うつもりだよ。
マトリックスは、宗教と救世主的な考えは人類によって生まれ、人類をを強力にコントロールする力を持っているとふざけ半分に示している…ネオによる救済によって。
かたやゼーガペインは、真の力は人の(人類の)心無しには生まれる事は無いと言い、我々自身が自分達の主人であり、自分達の"存在"の中にこそ神の力を使う可能性があると言っているんだ。
登場人物
外見はともかく、登場人物のデザインは素晴らしくて、体の造形の詳細に比べて顔がちょっと簡単に見える時があったのを除いて特に不満は無かったよ。
たぶんこれは私が女性よりも男の体をよく知ってるからだろうけど、(おっと、こんなことをいうと女性のファンから抗議がきそうだ、今やファン層は男性よりも彼女達のほうが多いくらいだし)男の体は筋肉質でたくましいのは分かるけど、顔の造形がちょっと古典的過ぎたよ。(女っぽく見えるし)たぶんそれは彼らの鼻や睫毛のせいだろうな。
サンライズのメカデザインは素晴らしいんだけど、人間の表情はちょっといまいちだ。
どちらにせよ、私は最後の最後まで登場人物を掴みきれ無かったよ。
これはスタッフが物語の質を保つのに気をとられたからか、キャラクターに集中しすぎないように視聴者の目を逸らしたかったからかもしれないな。
ルーシェンは確実に私の目を奪ったよ。彼は美しくて冷静でやさしいんだ。
キョウが主人公であることは喜ばしいことで、日本人が日焼けした肌の色を好むのは明らかだし、キョウの赤毛と日焼けした肌はアニメじゃ珍しくないけど(実際たくさんの少年向けアニメがこのイメージを踏襲してるよ)見た目もいいよ。
そしてルーシェンも見た目はよくあるタイプだけど(もう一度言うけど美形で色白なんだ)キョウをベースにたくさんの端麗さを付け足しているんだ。
悪い点?
良いアニメだし、エヴァンゲリオンやラーゼフォンよりも明快でテーマもはっきりしてるんだけど、この2つに比べて感動的でもないし、目新しくも無いかな。
私はこのアニメがかなり楽観的であるという事実が好きだよ。ゼーガペインはこの2つのアニメよりも新しいけど、人生をより深く定義するために、そして混乱しないためにも最初にこのアニメを見ることを勧めるよ。
このレビューは8人中6人が参考になったと言っています。
●カルフォルニア、アメリカ:男性
サンライズがまた新しいメカアニメを作ると聞いたとき、かなり偏見を持っていたことは認めるよ。ある時なんか”なんで?”と言ったものさ。そして最初のエピソードを見たとき、これが今までのメカアニメとは違うということを知ったよ。
自分が引き込まれた大きな一点はOPだよ(EDは最初のエピソードでは流れなかったんだ)新居昭乃の歌う”キミヘ ムカウヒカリ”。これは背後で激しく動くロボに合った歌ではない。その代わり、OPは巨大ロボットではなくて、このアニメの登場人物たちをゆっくりと、美しく歌うバラードが特徴なんだ。これはアニメ全編を通したイメージにもぴったり合ってるんだ。
たくさんの人がゼーガペインは始まりがゆっくり過ぎた、物語が進むエピソードが遅すぎたと言っている。でも、自分としては最初の数話で示された多くの何気ないヒントで、かなり好奇心をそそられたよ。
シズノとキョウの関係は?あのシーンの意味は?本当は何が起こっているんだ?
実際、物語はそれ自体がいくつかの層をもって複雑に築き上げられているんだ。各エピソードは繋がりあってるから、引きで終わることも多かった。もし物語ので不満を言うとしたら、十代である部分がちょっとだけひっかかるくらいだよ。
それから、この物語はデカルトからバークリー(?)までいくつかの古典的な哲学を扱うことも特徴なんだ。
でも、他のアニメと違ってゼーガペインは泥沼にはまり込むようなことは無いのさ。
アニメに対して不満を言うよりも、サンライズがこのアニメをきちんと作るためにお金をかけなかったことに不満を言いたいね。CGの戦闘シーンは最初の頃ちょっと貧弱だったけど、中盤になってどうにか持ち直したよ。
音楽について、自分はこのアニメのオリジナルサウンドトラックが本当に好きだよ、この音楽は本当にたくさんのシーンにアクセントを付けてくれるんだ。それでも、本当に自分を惹きつけて、絶えずプレイリストに挙がってくるのはOPとEDなんだけどね。
全体的に、ドラマとその間に全てを包む悲しみの感覚があるんだ。でもそれを見るのは痺れてしまうくらいだ。ゼーガペインはアクションのために見るものじゃない、物語と登場人物のために見るのさ。
アクションシーンも良い出来だけど、更に良いものを探しているなら、それはここにあるよ。
このレビューは31人中23人が参考になったと言っています。
↓以下、単なる信者の感想が続くので読み飛ばしてもらって結構です。
このアニメの良さを語りだすと、ちょっと止まらないのですが、とにかく14話ラストではそれまで寝転がりながら見てたのに意味もなく立ち上がっちゃいましたよ。実際に。
13話、14話の流れは本当に神がかってました。そしてその後のカミナギの過酷ともいえる境遇も。
ゼーガは何アニメか、と言われれば確かにロボアニメなのですが、ひょっとしたらそれ以上に青春アニメであり、生きることは何かを問いかけるアニメでもあったと思います。
海外でのレビューでも触れられていますが、これはアニメとしては珍しいくらいテーマがはっきりしていて且つアニメの中でその答えを出しているのも特徴です。
繰り返される青春の時間、でもそれは本当の時間といえるのか、生きるということはどういうことなのか、主人公のキョウをはじめセレブラント達はその答えを求めて足掻き、絶望的な戦いに身を投じる中でいつしかその疑問すらも見失いそうになります。
そんな中、自分の存在を諦めなかったキョウはガルズオルムに生きることの意味を問われ、こう答えます。
「お前がいて俺がいる。これが生きてるって事だろ」
自分の存在を確認する他者がいてこそ、自分の存在がある。偽りの人格かもしれないけど自分の存在を認めてくれる人たちがいる、他人を守ることは自分の存在を守ること、キョウ達セレブラントの戦いはまさに生存競争であるとも言えるかもしれません。
海外のレビューでも散々書かれていますがOP、EDは最高で、管理人も最初に聞いたときには「おいおい、これはロボアニメだぞ?」と思ったものですが、物語が進むにつれその内容と歌が近づいていき、遂にはひとつになるという、これがストーリーとは関係なく作られた歌とは思えないほどの嵌りようでした。
ぶっちゃけてしまうと管理人もこのアニメが始まったときは、世界観の説明もされずに闘わされる主人公に、またエヴァフォワローが始まったのかと思ったものです。
しかし、5話あたりで世界観が見え始め、また6話のネタバレがネットでも出ていて興味を維持できて、後は指数関数的に面白さが急上昇!でした。
まだまだ書き足りないのですが、本当に止まらないのでこの辺で。
ゼーガペインはただいまバンダイチャンネルで会員限定で1~6話無料配信中です。(非会員は1話のみ)
見たことが無い人はこの機会にいかがでしょうか?(って、いないか)
追記:
※BS11でも再放送中です
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