「冒険+グルメ」島袋光年『トリコ』海外のレビュー

週間少年ジャンプで好評連載中の島袋光年による冒険グルメ漫画『トリコ』。
グルメハンター・トリコが世界中の様々な食材を求めて冒険の旅に出るこの漫画、海外でも出版されており、現在3巻まで発刊されているようです。
今回はちょっと短いですが1巻のレビューを紹介します。
animenewsnetwork.com
裏表紙から
”美味しい食べ物を追及することで統治された世界、その世界のルールはただ1つ。即ち食べるか、食べられるか!想像も出来ないくらい美味しい食材を求めてグルメハンター・トリコは彼の底なしの胃袋と共に様々な野獣と戦いながら世界中を旅している。
時は長きに亘るグルメ時代!そして、トリコだけが世界中の一流レストランに獰猛な食材を提供することが出来るのだ。
グルメハンター・トリコはその両の手を武器に最も美味しく、最も危険な動物を追跡して捕らえる。しかし、戦車ほどの大きさの8本足の鰐に出会ったことはあっただろうか?”
良い点
世間に市販されている漫画にはいわゆる料理漫画、少女がケーキを焼くようなものや、美味しんぼのようにスノッブで鼻持ちならない漫画と同じくらい、トリコのような漫画が重要だ。
具体的な調理の描写ははっきり描かれていない…しかし男らしい!!!(全て大文字と感嘆符で)
レストランの食材を一気に食べたり、ゴジラサイズのクリーチャーを倒したりといった、世界中の少年が憧れるような男の見本ともいえるグルメハンターの凶暴さは、物語の最初から読者の心を掴むだろう。
しかし、これはメインキャラクターが全てと言うわけではない―目が踊るような想像性、命を賭けるて手に入れたくなるほどに美味しそうな架空の獣の料理が全ページにわたって活き活きと描かれている。
手書きの描線、ギャグ漫画のようなキャラクターデザインといったスタイルは明らかに何十年も前の少年漫画に逆行するものだが、ディテールと艶は現代の読者を充分喜ばせることが出来る。
他の漫画には無い物理法則、生物学、解剖学、食事方法等も無視することは出来ない…他のあらゆる料理ジャンル漫画を多い尽くすほどだ。
君は甘い砂糖菓子のような動物や、高級料理をキープすることが出来る。本当の料理がここにあるのだ。
悪い点
残念なことにトリコがマックスパワーに成長することは無い…それが唯一の設定だ。
我々の主人公は最初からマックスパワーであり、今後成長する機会は無いといえる。
トリコは自分の大切なものを守るためにより強くなると言うようなタイプではないのだ。また、物語は同じような内容を繰り返すという危険性もはらんでいる。
トリコは奇妙な猛獣と闘って、それを平らげ、自分の究極のメニューに加えるか決める。何度も何度も何度も…それが単調なコンセプトに見えるのなら主人公にくっついているサブキャラクターに目を移してしてみよう、主人公が非常に優秀だから、話に波をつけるために彼らを配置したのだろうか?
結局、この漫画で読者の心が離れそうなのはそこくらいで、他にはそういう部分はないのだが。
総括
何故今物語の展開に心配しているのか?それは今まさに(この物語の中に)生きているからだ!この漫画はワイルドで乱暴な冒険を楽しんでいる人のためのものであり、評価はBをつけよう。
seattlepi.com
少年ジャンプによる少年のための漫画、グルメとがつがつ食べるが同義である世界を描いたアクションファンタジー、島袋光年の『トリコ』はプロのグルメハンターが自分の究極のメニューを完成させるために野生の猛獣と闘う様を描いている。
我々が最初にスーパーマッスルのトリコに出会うのは、彼が国際グルメ会議のディナーに出すためにガララワニ(恐竜サイズで8本足のワニ)を捕らえるように雇われた所からだ。
小さなシェフのコマツを伴い―彼が出てくる主な目的は以下のとおり―
a)旅が危険なものだと描くため
b)トリコの旺盛な食欲を満たすため
トリコがワニよりも苦戦を強いられたのは強力な四本の腕を持つゴリラ―トロルコングと呼ばれている―の軍隊と対峙したときで、彼はゴリラ達が守っている虹の実を捜していたのだ。
主人公が闘わなければならない野獣たちは全てグロテスクで獰猛なよだれを垂らす猛獣だが、彼はいつでも何とかトップに立つ。
島袋はアクションコメディのためだけにこの漫画を描く―時々漫画っぽいジョークを入れてくるのは嫌いではない。
例えば、トリコがワニを腹いっぱい食べた後おなかを膨らまして地面に寝転がっていたり。また、我々の主人公はポパイのような力を持っているようにも見える。
例えば、トロルコングが守っている虹の実の木のある場所に入れないとき、彼はこぶしで壁に穴を開け入っていく。
ほうれん草のサラダが彼の究極のメニューに入っていないのが不思議なくらいだ。
主人公が、少年ジャンプのビッグタイトル『NARUTO』や『OnePiece』のおかしな主人公達と同じくらいの魅力があるか分からないと思う読者のために、島袋は主人公とコマツを一緒に障害に立ち向かわせるという発明を考え出した。
例えばトロルコングの章ではトリコは下っ端のゴリラに吐瀉物をかけられる。
これは下っ端の臭いを付けられたということであり、そのために彼はトロルコング全軍から狙われることになる。
トリコは賞賛すべきことにトロルコングを殺すことを拒否する。”食わない生き物は殺さない!”彼の言葉は人生の指針にもなるだろう。
第1巻の巻頭の言葉で島袋はこう書いている。
”登場人物の食事シーンは簡潔に、でも面白く…すくなくとも自分はいつもそう思っています。”
作者の追及する空想的な食事は決して薄味ではない。それはウィリー・ウォンカ(amzn)
害獣グニッド(チョコレート工場の秘密の続編に出てくる宇宙怪獣)のローストは彼の究極のメニューに載るだろうか?
島袋光年の描く絵は海外で受けるようなシャープな絵とは言いがたいのですが、迫力があると思います。
今となっては古いともいえるスタイルですが、それゆえに安心感があるというか、あえてひねらず直球で勝負しているところも好きな部分であります。
1巻ではまだ物語が進んでいないせいか、今となっては少々的外れなレビューかもしれませんね。
しかし、海外では受けなさそうな『トリコ』がレビューされているのは嬉しく思います。
作者がトリコの前にスーパージャンプで連載していた『RING』も好きだったのですが残念ながら短期連載で終わってしまいました。
その時は残念に思っていたのですが、その後『トリコ』で復活を遂げ、現在も好評を博しているところを見るとやはり少年漫画の人だったのだなあ、と。
『トリコ』も面白いけど『RING』の続編も見たいと思っている管理人なのでした。
(つか、あのスポーツは単純にやってみたかった)
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